次なる税理士法改正に向けて ③

2017年03月01日

資格取得制度の現状と今後

制度部長 高橋 紀充

1 税理士資格取得の現状

早いもので平成26年3月に税理士法改正を含む所得税法等の一部を改正する法律が可決(以下、「平成26年改正」)されてから3年が過ぎました。

ご承知の方も多いと思いますが、今回の改正項目のうち資格取得について重要な改正項目といえば、やはり公認会計士への資格付与に関するものでしょう。改正経緯は紙幅の関係で割愛いたしますが、結果としては、公認会計士に対して公認会計士法第16条第1項に規定する実務補習団体等が実施する研修のうち、一定の税法に関する研修を修了した公認会計士とすることとされたものの、公認会計士となる者は税理士資格も付与されることになりました。(つまり、自動資格付与存置)

この点を踏まえ、現在の税理士資格について再確認すると、税理士資格を有することができる者は、税理士試験合格者、試験科目免除者、弁護士(有資格者含む)、公認会計士(有資格者含む)となります。なお、試験科目免除については、学位取得者等と国税職員や地方公務員に対して、その学位区分や勤続年数等により税法科目数等の免除(税理士法第3条、同7条、同8条参照)がされる仕組みです。

2 日税連、東京会の現状

日税連のHPに「税理士って?一生の仕事を探すなら」というリーフレットがあるのをご存知でしょうか。(トップページ→「税理士を目指す」→「税理士となるには」に進むとあります。)

このリーフレットは、主にこれから税理士を目指そうとする大学生等向けの内容になっています。現在の資格取得については冒頭に述べたとおりですが、このP11~には、他士業の自動資格付与や試験免除についての記述がなく、5科目試験合格を前提としていることがお分かりいただけると思います。(注)(同サイトで「税理士を目指す」→「税理士の資格取得」という別ページに進めば、資格取得全般に関する記述はあります。)

昨今の税理士試験受験者減少に対して、日税連や東京会は危機感をもっているようで、このリーフレットは対応策の一つのようです。東京会は、「次回の税理士法改正に向けて、若い世代が魅力を感じられる制度となるよう、税理士会として提言していきたいと考えている。その1つが試験制度です。受験資格が非常に厳しいと言われていますので、その撤廃をすべきかどうか、また試験科目についても今のままでよいのかなど、若い世代がより受験しやすい試験制度の実現に向けて、議論を開始したい」(『東京税理士界平成29年1月号』、下線筆者)と述べています。

3 今後の資格取得について

さて、この受験者減少に対する日税連や東京会の方向性は妥当といえるのでしょうか。少し前のデータですが、平成26年度新規登録者数の内訳は、試験合格者867名(31.5%)、試験免除者1,329名(48.3%)、公認会計士512名(18.6%)、その他42名(1.5%)となっています。

そもそも国家資格は国民の利便性や安全性の保護ということが目的であり、その資格付与についても、資質の検証が公正・公平にされていることが前提です。また、税理士と公認会計士は互いの使命が異なり、資格試験も異なります。

平成26年改正当時、池田日税連会長(当時)は、当時行われた全国青税との懇談会の際に、国税審議会について「指定研修の内容をチェックしていく必要は当然ある。日税連にチェックする権利はないが、チェックしていこうという姿勢が国税審議会に届くのではないかと思う。そのために必ず税理士会から1人国税審議会に入れるので、その方にチェックのお願いをしていくことになるであろう。」と述べています。

今般、国税審議会税理士分科会委員の変更があり、現在の委員に平成26年改正の際に締結されたいわゆる「確認書」へ池田日税連会長と一緒に署名をした小川日税政会長(当時)が就任しています。公認会計士の税理士資格付与については、「改正経緯と人脈関係」も考慮して、今後の国税審議会の動向をしっかり注視していきましょう。

そして、国家資格のあり方を考えるとき、やはり青税が従来から繰り返し主張している「税理士試験に合格した者のみに付与すべき」という主張をこれからも訴えていくべきではないでしょうか。